着物
KIMONO
着物の基本
成人式と振袖
昭和に入って戦後、成人の日が制定されましたが成人式の晴れ着としての振袖姿はまだ少なく、高度成長の昭和40年代に入って振袖姿がほとんどになりました。「成人式には振袖」の観念はその時代にできたものでしょう。そのころの振袖は中振袖で大振袖は結婚披露宴のお色直しに着用されていました。(現在の振袖はそのころでいう大振袖にあたります。)
未婚女性の第一礼装で袖丈が長いほど格調が高いとされています。
第一礼装は五つ紋を付けるのが正式とされていますが、現代では三つ紋一つ紋無紋でも問題なく着用できます。大振袖は花嫁衣装・成人式・謝恩会・披露宴に中振袖や小振袖は初釜・パーティなどに着用できます。縮緬・綸子・緞子・紋意匠などが多く見られ、染色は友禅染を中心に絞り染め・型染めなど様々で、文様も古典的なものからモダンなものまで多種多様です。
半衿は白の塩瀬を基本に白の縮緬。華やかな着物ですから刺繍半衿でお洒落に装うと素敵です。伊達衿は着物を二枚重ねているように見せるための留袖の比翼仕立てを簡略化したもので、着物の色や文様に合わせて着物を引き立てる色を選ぶと素敵に装えます。振袖の帯は変り結びにできるように全通もしくは六通の袋帯を使用します。帯の文様は着物の色や文様との調和を考慮します。爪掻本綴帯は格調高く、礼装からお洒落な装いまで幅広く着用していただけます。帯締めは平組丸組ともに金糸に色をあしらったものを使用します。帯揚げはボリュームのある総絞りのものを用います。帯の上に見せるようにするので着物の色や文様に合わせて着物を引き立てる色を選ぶと素敵に装えます。小物は巾着か金糸銀糸が用いられた布地を用いたものや金や白、色のエナメル加工の抱えか手提げの小型のものを、草履も同様で台と鼻緒は同色・同素材で、かかとの高さは5cm前後が基本です。
付け下げ訪問着
その後は上前衽と前身ごろで模様が繋がるようになり訪問着に近い模様付けがされ、付け下げ訪問着と呼ばれるきものもつくられました。もともと付け下げは無紋で着用できるきものでしたが、付け下げ訪問着は訪問着の代わりに略式礼装として着用されることも多くなり一つ紋(陰紋・加賀紋・刺繍紋など)を付けることもあります。
付け下げ訪問着と小紋の中間に位置する付け下げは、訪問着より略式で小紋より格上とされ、気軽に着用できる略式礼装です。
文様の付け方によって披露宴・パーティ・茶会・観劇・街着など幅広く着用できます。略式礼装ですが付け下げの場合は無紋のものがほとんどで、紋を付ける場合は一つ紋の陰紋か加賀紋や刺繍紋でも良いです。縮緬・紬・綸子・紋意匠など様々で現代では訪問着に近い華やかな文様のものから閑寂なものまで多種多様です。
半衿は白の塩瀬を基本に白の縮緬でも良いです。刺繍半衿や色半衿で個性的なお洒落を楽しむのも素敵です。礼装として着用する場合は白の伊達衿(比翼衿)を用いると良いです。また季節を表した色や着物や帯に合わせた色選びでもお洒落な装いが楽しめます。帯は織の名古屋帯や綴織の袋名古屋帯を、文様の付け方によっては綴織・錦織・唐織の袋帯などで帯の色や文様は着物の格・色・文様との調和を考慮します。爪掻本綴帯は格調高く、礼装からお洒落な装いまで幅広く着用していただけます。帯締めは平組丸組ともに、着物や帯と調和のとれた色選びでお洒落な装いが楽しめます。帯揚げは絞りや綸子など、着物や帯と調和のとれた色選びでお洒落な装いが楽しめます。小物は綴織・錦織・唐織などの布地のものや金・白・色のエナメル加工の抱えか手提げの小型のものを、草履も同様でかかとの高さは5cm前後が基本です。
正装が紋付なのは
明治時代の欧米化政策に伴った衣服令によって一般庶民は着物を着るときは紋付を正装とすると定められ、その後、廃止された法律ですが今でもその名残で正装は紋付となりました。
五つ紋の黒喪服に黒喪帯は弔事の第一礼装とされ葬儀や告別式で喪主・家族・参列者が着用します。
紋は染め抜き日向紋を付けます。また法事などでは色喪服として地味な色目の色無地や江戸小紋を喪の略式礼装として着用します。喪服の格は黒喪服に黒喪帯、黒喪服に色喪帯、色喪服に黒喪帯、色喪服に色喪帯の順に略式になります。
喪服の生地は縮緬か羽二重(単は絽や紗など)が主で文様はなく黒に染められた着物です。黒に染める前に藍で染める藍下や紅で染める紅下など黒色に深みをもたせた染め方があります。
紋は五つ紋(染め抜き日向紋)を付けます。
色喪服としての色無地は藍・紫・茶・鼠などの地味な色目の一越縮緬や古代縮緬を、地紋のある場合は有職・流水・雲などの文様にします。また江戸小紋の場合は極型の鮫などの柄を着用します。
半衿は白の塩瀬を基本に白の縮緬でも良いです。(伊達衿は無し)黒喪服の帯は黒地の袋帯・綴織の袋名古屋帯・繻子・緞子・綸子地の名古屋帯を、地紋は唐草・菊・家紋のものを着用します。色喪服の帯は色喪服同様に地味な色目の袋帯・綴織の袋名古屋帯・織・染の名古屋帯で蓮や雲などの文様のものを着用します。格調高い爪掻本綴帯で礼を尽くした装いができます。帯締めは黒喪服には黒の帯締めを、色喪服には地味な色目のものや黒の帯締めを使用します。帯揚げは黒喪服には綸子などの黒を、色喪服には地味な色目のものや黒を用います。小物の喪扇はつや消しの黒骨で濃紺の地紙のものを持ちます。黒喪服にはつや消しの黒の布地、色喪服には地味な色目のものやつや消しの布地の抱えか手提げの小型のものを、草履も同様でかかとの高さは5cm前後が良いです。